[物語]
目が覚めると、そこは真っ暗な森の中でした。
なぜ、こんな場所にいるのか。
なぜ、妹とふたりきりなのか。
なにひとつ思い出せないことばかり。
「おにいちゃん」
ひとつ。わかっているのは、この小さな妹の手を、固く、固くにぎって、決して離してはいけないということ。
「いこう」
小さな妹の手を引いて、もう片方の手に空っぽの鳥籠を持って、少年は歩き出しました。
どうしてそう思うのかはわからなかったけれど、そうしなくてはいけないとはっきりわかるのでした。
ふたりはしっかりと手をつないで、深い深い森の中をゆくのでした。
「青い鳥を探さなくちゃ」
第5回公演
朗読「怪語り参」